銀座の一等地にあるコワーキングカフェ「the SNACK」 東京と地方のハブを目指す

DANROの連載企画「コワーキングスペース物語」。第2回は、東京・銀座の一等地にあるビルで営業する「the SNACK」です。「大人の秘密基地」をコンセプトにしたコワーキングカフェ。雑居ビルの奥にあるドアを開けると、遊び心あふれる空間が広がっていました。

運営するのは、株式会社「大人」代表取締役の五十嵐慎一郎さん(34)。4年前、そのとき勤めていた不動産開発会社の新規事業としてthe SNACKを立ち上げ、独立した今も運営会社として関わる五十嵐さんは、コンセプトについて次のように語ります。

「リアルな場所で、偶然に誰かと出会うのはおもしろいですよね。たまたま隣に座った人の話を聞くと、知らない世界がそこにある。カオスなコワーキングスペースを作ってみたいと思いました」

ソファ席はゆったりと会話するのに向いている

店内に入ると、受付のカウンターがありますが、ここでドリンクを注文できます。アルコールも提供しているので、「お酒を飲みながら打ち合わせをしてもいいですよね」(五十嵐さん)

部屋の中には、大きなテーブル席やカウンター席、ソファ席など、さまざまなタイプのスペースが用意されていて、その日の目的に応じて使い分けることができます。

照明の明るさは抑えられているので、落ち着いた雰囲気ですが、イスの色はピンクやオレンジ、ブルーとカラフルで、「仕事場」というよりは「遊び場」と呼びたくなります。

利用形態は、月2万7000円の会員プランのほか、ある日に数時間だけ利用するドロップインもあります。その場合、3時間までは1000円、3時間以上は2000円という料金になっています。

「the SNACK」の運営代表・五十嵐慎一郎さん
仮面をモチーフにしたアート作品を持つ五十嵐さん

取材した2018年4月には、利用者が製作したというアート作品が並べられていたのが印象的でした。五十嵐さんは、顔を隠す仮面が先端についた棒を持ちながら「これ、知人の仮面屋さんが持って来てくれたんですよ。アーティストの方もよく出入りしているんです」と話していました。

利用者は、フリーランスの人が多いとのこと。職業はさまざまで、WEBデザイナー、社会起業家、エンジニア、フォトグラファーなど。「いろんな人がいて、雑多でおもしろいですね」と五十嵐さんは言います。

そのうちのひとり、結婚カウンセラーの工藤恵子さんは4年ほど利用しています。「私は隣の人にいつも話しかけるんです。いろんな人と出会ってコラボできるのが魅力ですね。ここで働いているアルバイトの子がデザイナーなんですが、『成婚ワンピ』という商品を作ってもらいました」

遊び心があふれた「仕事場」。いろいろなアイデアが生まれそうだ

もともと工藤さんは名古屋を拠点にしていましたが、そのときから「the SNACK」を利用していたそうです。「東京で相談をしたいという人がいたら、ここで会っていました。新幹線が止まる東京駅から近くて便利なんです」

工藤さんが指摘するように、銀座は東京駅から近く、羽田空港からのアクセスもいい場所です。五十嵐さんも「地方から来やすい立地なので、地方と東京をつなぐハブにできると考えました」と、立地の良さを語ります。

五十嵐さんは「地方と東京をつなげること」に関心があり、「札幌移住計画」というプロジェクトを展開しています。札幌出身で、故郷に対する並々ならぬ思い入れがあるのです。

「友達も『自分で何かやりたい!』という奴ほど、北海道から出ていくんですよね。そいつらと話してみると、みんな北海道が大好きで、地元のために何かやりたいと思っている。一度外に出た人たちが戻ってこれる環境を作りたいと思って、札幌移住イベントなどを開催しています。『the SNACK』でも、Iターン・Uターンや地域ビジネスを応援する企画を発信していきたいんです」

五十嵐さんは東京大学工学部建築学科の出身。大学では「アメフトに命をかけた」

コワーキングスペースの運営や地方移住プロジェクトなど、いろいろな活動をしている五十嵐さん。フリーランスや副業など働き方が多様化する時代に、個人として生きていくために必要なことを聞くと、こんな答えが返ってきました。

「とりあえず、やってみること。個人で稼ぐ手段は増えているし、環境は整い始めている。独立してみる。副業をやってみる。何らかの形でスタートさせることが、大事だと思います」

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