カジノの「ルーレット」 ディーラーのコントロールはプロ野球選手並か!?

カジノの女王「ルーレット」(Photo by Getty Images)
カジノの女王「ルーレット」(Photo by Getty Images)

話は前回のコラムの続き、ラスベガスのカジノホテル「ベラージオ」でルーレットに興じていると、赤が23回連続で出るというあり得ないことが起きたときのことだ。その後もディーラーの腕は冴え渡り、回転盤上の特定のエリア(数字)に集中して玉を落としているかのようだった。

ぼくはいつも5~6個の数字に賭けるのだが、アメリカンルーレットは数字が38個あるため、当たる確率はせいぜい15パーセント。7回に1回当たれば上出来といえる。しかし、彼のゲームではそれをはるかに上回る頻度で当たった。なぜかといえば、同じ数字ばかりが繰り返し出たからだ。

頻発する3つの数字

【図1】は、彼が出した数字を頻度順にグラフ化したものだ。

【図1】

30回のうち、「3」が5分の1にあたる6回も出ている。それだけではなく、「14」と「19」も5回ずつ出ているのだ。

上位3つの数字の合計は16回となり、たった3つの数字で出目の半分以上を占めた。極論すれば、この3つに賭けただけで楽に勝てたはずである。

むろん、結果論に過ぎないが、ラスベガスではこうしたことが度々起こる。

「繰り返し」を狙うのがコツ

ラスベガスのディーラーが客を楽しませるやり方は、「同じ数字を繰り返す」または「回転盤上の同じエリア内にある数字を繰り返す」に大別されるが、よく見かけるのは回転盤上の同じエリア内にある数字が集中して出るパターンだ。

ただし、これを当てるには慣れが必要だ。なぜなら回転盤とテーブル(=チップを賭ける場所)では数字の並びが全く違うからだ。

具体的に見てみよう。【図2】は回転盤の「3」「24」「36」「13」「1」という連続する5つの数字だ。

【図2】

これがテーブルでどの位置にあるかを示したのが【図3】だが、ご覧のように離れた位置となる。

【図3】

つまり、回転盤上の特定のエリアを狙う場合、その数字の並びを事前に覚えておくことが必要となる。そんなの無理だと思うかもしれないが、覚えているか否かで、成果はかなり違ってくる。

ぼくが初めてラスベガスに行った際、回転盤の絵を常にポケットに入れて、暇さえあれば眺め、家のトイレにも貼って覚えた。カジノではその成果がちゃんと出た。努力は無駄にはならないので、みなさんにも是非おすすめしたい。

連続する数字に賭けるのは間違い

次に、逆の視点から見てみよう。これは初心者がよくやる方法で、テーブルの連続する数字に賭けるというものだ。

例えば「13」「14」「15」に賭けたとしてみよう。【図4】を見てほしい。

【図4】

3つの数字はテーブルで並んでいるので、一つズレても当たるような気がするかもしれないが、それは全くの間違いだ。

この3つは【図5】に示したように、回転盤ではまるっきりバラバラの位置にあるからだ。

【図5】

つまりテーブルで連続する目に賭けるのは、事実上、デタラメに賭けているようなものなのだ。

ディーラーにはどれほどの技量があるのか

前回、前々回のコラムでは、奇跡の出目について話をしてきたが、偶然だけでは片付けられないのも正直なところ。

では、ディーラーにはどれほどの技量があるのだろうか。参考になるのはプロ野球の投手だ。プロ野球の投手は捕手が構えたミットめがけて正確にボールを投げる。中には針の穴を通すようなコントロールを持つ人もいる。

かなり前になるが、あるテレビ番組にアメリカ大リーグのランディ・ジョンソン投手(当時)が登場したことがある。彼は目隠しをしたままマウンドから投げ、ストライクゾーンに置かれたリンゴに見事命中させた。

神業を見て腰を抜かしたが、同じく玉を投げるプロとして、ディーラーに同等の技量があっても全く不思議はないとぼくは考える。また、そう思わなければ説明のつかないことがラスベガスではとても多い。

余計なことは考えず、ディーラーが繰り出す奇跡の出目を信じて賭けるのが、ルーレットの正しい遊び方だと、ぼくは思う。

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松井政就 (まつい・まさなり)

作家。1966年生まれ。著書に『本物のカジノへ行こう!』(文春新書)『大事なことはみんな女が教えてくれた』(PHP文庫)ほか。ラブレター代筆、ソニーのプランナー、貴重品専門の配送、ネットニュース編集、フィギュアスケート記者、国会議員のスピーチライターなどの経歴あり。外国のカジノ巡りは25年を超え、合法化言い出しっぺの一人。夕刊フジでコラム連載中。

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