「月に行ったら、いい仕事ができる」ZOZO前澤社長・会見全文(上)

ZOZOの前澤友作社長
ZOZOの前澤友作社長

ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの前澤友作社長(42)が10月9日、東京・有楽町の外国特派員協会で、「月周回旅行」についての記者会見を開きました。

前澤社長は9月、米国の宇宙開発会社・スペースX社と月周回旅行に関する契約を結び、世界的な注目を集めました。自身がホストキュレーターとなって、各界を代表するアーティスト最大8人と共に旅立つ計画を立てています。

どこの国の人を連れて行きたい? 社会貢献をしたほうがいいのでは? 記者から出たさまざまな質問に対し、前澤社長が答えました。会見の全文を3回に分けて紹介します。

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長く働かずに、インプットを増やすべき

前澤:今日はお忙しい中、お集まりいただき、みなさんありがとうございます。普段は株式会社ZOZOの代表取締役をやらせていただいている前澤と申します。今日は個人のプロジェクトですので、なんと自己紹介したらいいのでしょう。個人・前澤友作として、今日は来ておりますので、よろしくお願いします。

すでに先日、アメリカ・ロサンゼルスのスペースX社での会見で、大まかな概要はご説明させていただきましたが、日本向けにはこれが初めての説明になります。今日は最後までよろしくお願いします。何でも聞いてください。

今日は会社の決算説明会や事業説明会ではないので、個人・前澤友作として楽しい会見にしたいなと思いますので、楽しいご質問をぜひお願いします。

モデレーター(Nikkei Asian Reviewのアンディ・シャープ):今日のファッション、素晴らしいですね。ZOZOTOWNのものですか?

前澤:いいんですか、そんな宣伝しちゃって。全身ZOZOのプライベートブランドです。最近始めた我々のプライベートブランド・ZOZOを着ております。ZOZOというブランドの特徴は、その人の体型にあったぴったりのサイズを、ZOZOSUITというツールを使って計測し、ぴったりした服をお届けします。

今日も(僕の服装を)見ていただくとわかる通り、かなりぴったりなんですが、いかがでしょうか? みなさんもこのようなぴったりのお洋服が買えますので、ぜひトライしてみてください。以上、宣伝でした。

モデレーター:前澤さんは非常に大きなZOZOという会社を経営しながら、宇宙飛行士としてこれからトレーニングをやらないといけませんし、アートコレクターとしての側面もあります。そういうことを、1日でどういう風に対応されているのですか。

前澤:グッド・クエスチョン。私どものZOZOという会社は、短時間労働を社員に推奨しております。我々が導入している具体的な施策としましては、6時間労働制を取り入れております。普通は8時間ですよね。我々の場合、「6時間で仕事が終わったならば、すぐ帰ってしまっていいよ」ということをしています。

それをやり始めた瞬間に、社員たちの働き方が変わりました。どう変わったかというと、無駄な作業は辞める。無駄な資料、会議はやめる。そういう風になりました。結果として、ものすごく集中力が高まり、パフォーマンスも上がり、6時間で帰る人が続出しました。つまり、私をはじめ我々のZOZOという会社は、短時間で集中して好きなことをやって、早く帰りましょうというのをずっとやってるんですね。

その関係で、私自身も会社に朝から晩までいるワークスタイルはとっておりません。会社には週3日か4日くらい行き、行った時は6時間で帰っています。なので、それ以外の時間もあるんです。それ以外の時間は何に使っているかというと、趣味のアートだったり、車が大好きだったり、今日の宇宙の発表もあったり。そういうお勉強や体験、買い物などにすごく時間を使います。会社以外で過ごす時間をすごく大切にしています。

社員にも言い伝えています。「会社でやること以外にも、たくさんのインプットを増やしなさい」と。だから会社が終わって、どこかで習い事をするのもいいし、誰かと会うのもいい。どこかへ旅行へ出かけるのもいい。この全てがみんなにとってのインプットになります。そのインプットとは、明日・明後日のみんなの仕事にも必ず生きます。つまり、インプットの量とアウトプットの量は常に比例するのではないかと。社員にはそう伝えています。

月に行ったら、きっといい仕事ができるなと思っているから、行くんですね。いきなり本題になりますが。インプットを増やすために、今回、冒険をすることにしているんです。つまり、会社だけに時間を費やすのではなく、たくさんのインプットを増やすことは日頃から大事にしています。

「寄付をするときにジレンマを感じた」

質問(インドネシアの新聞記者)私はインドネシアに来て30年経つんですが、月に行くことは非常にいいことだと思います。私も行きたいですし、ここにいるみなさんも行きたいと思います。ただ、日本には批判されている方もいると思います。

たとえば、「社会に貢献されたらどうですか」と言っている方がいます。それに対して、前澤さんは「3.11の福島で被害を受けた方々にも貢献していますし、国際機関を通して子供にも貢献している」とお答えされていましたが、最近のインドネシアの地震では2000名の方々が亡くなられました。800名の方がまだ行方不明で、1000人の方々が今避難されている状態です。

月に行くことと人類への貢献をバランスをとっていただきたいと思うんですけれど、インドネシアを助けていただいたら、インドネシアの全人口だけではなく、世界にはイスラム教の方々が約2億2000万人いますが、その方々も前澤さんの名前を生涯覚えていると思います。そういうことは考えませんか?

前澤:まずはインドネシアもそうですが、近年、世界各地で色々な災害が起きていますし、たくさんの方が亡くなったり、怪我をされていることに本当に心を痛めています。その度に、「自分には何ができるのか」と思います。日本の場合は、だいたい何か起きると、常に会社としても個人としても、色々やらせていただいています。海外でもやらせていただいたことがあります。

ただ、お国柄なのでしょうか。そういったことを公にするのが、はばかられる国でもあります。ただ、今までやったことの中の一部は、しっかりみなさんにも公表して、「このような支援活動をしています」「このような義援金を送らせていただきました」といった話はちょこちょこさせていただいているんですが、不十分なところもありますし、全てを公表していないということもありますので、よく認知されていないところもあると思います。

どこまでそれをやれば正解かというのは、生涯の課題になるでしょうし、自分の趣味だったり、自分が得意な分野で役立てるために使うお金は、おっしゃった通り、バランスの問題でしょうし、そのバランスにも正解がないと思います。一生苦悩して葛藤し続けながら、自分のなかのバランスを見つけたいと思います。

基本的にこういう立場ですので、仕事も趣味も、必ずその先には「誰かの役に立ちたい、感動させたい、喜ばせたい」という思いが根幹にあります。これからの活動はバランスを取りながら、両方でやっていけたらと思っています。

あと、寄付をしたり、義援金を送るのは、どうしてもお金を送ってそれで終わってしまうので、自分としてはもっと自分の体を動かしたり、自分の知恵を絞って何かお手伝いをしたいと思っています。そういう意味で、毎回寄付する度に「何かそれだけでいいのかな」と思うジレンマがあります。

それとは逆ですが、今回月に行ったり、何かを買ってみなさんとシェアするのは、自分が得意な分野ですし、自分の頭を振り絞ってやっていることですし、自分で自発的に動ける行動なので、そっちがどうしても表に出ますし、積極的に映るんでしょうけれど、そこはおっしゃる通りに、バランスをみてやっていきたいなと思っています。

質問(ニコニコ動画・七尾)宇宙を舞台にしたアートで、世界を平和にするプロジェクトは素晴らしいと思います。招待する方々の具体的な招待のポイントや、いつ頃から交渉を行うかを教えてください。特に前澤さんはSwitch Style(スイッチスタイル)のドラマーでもあったわけです。交渉もあると思うので具体名はお聞きしませんが、どのようなミュージシャンを招待したいとお考えですか?

前澤:ミュージシャンだけではなく、画家、映画監督、ファッションデザイナーなど、まだ分野はしっかり決めていませんが、僕の夢は世界平和ですので、世界を何らかの形で自分のクリエーションで良くしたいという思いの強い方を探して声をかけたいと思います。

自分がその方の作品が好きだというのも大事かと思います。そういう形で声をかけようと思っていますが、現状はまだ誰も決まっていません。まだ、勧誘というか、声をかける活動は開始しておりません。

もしバンクシーが参加したら?

質問(BBCワールドサービス・トルコ言語担当者) 2つ質問があります。前澤さんにとって、アートはどういう意味を持っていますか? 今まで24名しか月に行ったことがなく、全員アメリカ人の宇宙飛行士でしたが、前澤さんはどういう国の人を連れていきたいですか? セレクション(選抜)のプロセスはどのようになっていますか?

また、『コンタクト』という映画をご覧になるとわかるように、いろんな性格の人が宇宙船に乗ると、非常に(人間関係が)難しいという状況も発生します。たとえば、バンクシーを連れて行くとなったとき、バンクシーが「宇宙ロケットを爆発させたい」と仰ったらどうしますか?

前澤:まず、アートは大好きです。言葉を持っていないので、言語を超えて向き合えます。僕の横に同じアートを見る人がいるとすれば、その方が何語で話そうが何人であろうが、そこには言葉がないので、「なんかいいよね」ってお互い分かり合える。共通言語ではないんですが、つまりアートは言葉がないのに人と人を繋いでくれたり、自分自身を見つめ直すきっかけをくれたり、考えるきっかけをくれたりするので、とても大好きです。

次の質問は、どういう国のどういう人か。なるべくワールドワイドにいろんな地域のいろんな方をお連れしたいとは思っています。確かにアーティストのみなさんなので、突拍子のないことをいう方もきっといるでしょう。そういうのをなだめすかして「喧嘩しないでね」と言ったりするのが、ホストキュレーターの僕の役割であると思っています。仲良く楽しい旅にしたいなと思っています。

質問(フリーランス・フジタヒロユキ)前澤さん自身がすでに歴史的人物だと思いますが、男性でも女性でも、歴史的人物で一番尊敬されている方はいますか?

前澤:身内の回答で申し訳ないんですが、両親をとても尊敬しています。「こんな厄介な息子を育ててくれてありがとう」と思っています。今回の件もそうですし、日々の僕のいろんな発言や発信をとても心配して見守っています。きっと今日も生中継で見ていると思うんですけど。とても尊敬しています。

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