「ものすごい孤独を感じていた」道端アンジェリカが語る乾癬(かんせん)の苦悩
![乾癬だとSNSで公表した道端アンジェリカさん(撮影・萩原美寛)](https://danro.bar/wp/wp-content/uploads/2020/04/11872501/site_big/4c8879ddfbc9579f900e8db0b14af786.jpg)
こんな醜い病気の私を気にかけてくれる人はいない。とても孤独だった――。ある乾癬患者の告白です。
皮膚の一部が白いかさぶた状になり、フケのようにボロボロとはがれ落ちる皮膚の病気「乾癬(かんせん)」。腕や脚、頭皮など人目にさらされる部位に症状があらわれることが多く、他人の視線を気にするなど、辛い思いをしている患者は少なくありません。
こうした患者の悩みを知ってもらおうというイベントが10月5日~7日、東京ミッドタウン(港区六本木)で開かれました。3日間で延べ約8000人が訪れました。イベントでは、去年SNSで、乾癬であることを公表したモデルの道端アンジェリカさん(32)が登場。「病気のことをもっと知ってほしい」と訴えました。
誤解や偏見で苦しむ患者
乾癬は、慢性の皮膚疾患です。皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」や白いかさぶたのようになる「鱗屑(りんせつ)」、そして、ボロボロとはがれ落ちる「落屑(らくせつ)」などの症状がみられ、かゆみや関節痛をともなうこともあります。原因は完全にはわかっておらず、国内に約50万人の患者がいると推測されています。
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皮膚がフケのように落ちる症状から不潔と思われたり、乾癬(かんせん)という病名から人に感染するのではないかと誤解されたりすることもあり、精神的なストレスを抱えている患者は少なくありません。中には、周囲の目を気にするあまり、行動が消極的になってしまう人もいます。
乾癬の専門医である岩手医科大学の遠藤幸紀医師は、認知を広げることが重要だと指摘します。
「乾癬は人にうつる病気ではありません。しかし患者の中には、誤解や偏見によって、いじめの標的になったり、休職に追い込まれたりする人もいます。多くの人に病気のことを知ってもらい、偏見を無くすことが重要です」
患者には若い女性も多く、見た目を気にして思い悩んでいる人も少なくありません。山下織江(39)さんは、学生の頃におしゃれを楽しむことができなかったと振り返ります。
「皮膚がフケのように落ちて目立ってしまうので、色が濃い服を着ることができませんでした。皮膚を刺激しないようにダボダボな服を着なければいけなかったので、タイトな服も着られない。髪を染めて、パーマもかけたかったけれど、美容師に不潔だと思われるのが怖くて、美容院に行くにも勇気がいりました」
高校生の時に乾癬と診断された大蔵由美さんは、友人と旅行に行けなかったのが辛かったといいます。「みんなで旅行に行こうという話になっても、私だけ参加しませんでした。一緒にお風呂に入るのが怖かったからです。そういう時は孤独を感じました」
患者の悩み、伝えるアート
こうした患者の悩みを伝えようと開催されたのが、今回のイベントです。展示スペースでは、マネキンなどを配置して、4つの日常のシーンが表現されました。電車での移動、会社での会議、美容院など、一見すると日常的な風景ですが、乾癬患者が不安やストレスを感じるシーンを描いています。
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通りがかりにイベントに立ち寄ったという大学生の湯村麗爽さん(22)は、「乾癬は知りませんでしたが、患者さんの悩みに気づかされました」と話しました。会社員の鍋島ケルビン(27)さんは、展示を見て色々と考えさせられたといいます。「乾癬で苦しんでいる人たちが、他人からの目線を気にしているということがわかりました」
道端アンジェリカさん「乾癬を知ってほしい」
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7日のトークセッションでは、去年インスタグラムで乾癬であることを公表した道端アンジェリカさんが登場。病気を公表した理由などについて語りました。
道端さんに乾癬の症状が現れたのは、いまから6年前。人目にさらされるモデルという職業のため、発疹を隠すのに必死だったといいます。
「モデルは肌がきれいでスタイルがいいというイメージがあるので、必死で隠していました。ファンデーションや長袖の洋服で隠したり、ヘアスタイルを工夫したり。周りには悩みを打ち明けられなかったし、自分でも認めたくなかったので、とても辛かったです。ものすごい孤独を感じていました」
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道端さんが乾癬だと気がついたのは、あるモデルのSNSの投稿がきっかけでした。
「好きなモデルが乾癬について話していたんです。乾癬って何だろうと思って検索したら、症状が私と一緒でした。私だけじゃないんだと思って、少し安心しました」
その後、大学病院で正式に乾癬と診断された道端さん。去年SNSで公表しました。投稿に「いいね」が3万3000件以上つくなど、大きな反響がありました。道端さんは当時の心境を次のように語ります。
「食事に気を使ったり、生活習慣を変えたりといろいろな努力をしていたのですが、それでも症状が悪化して苦しい思いをしてきました。そんな中で、『スーパーフードを食べているのに肌が汚い』と言われたのが、とても悔しくて。病気を隠しているのにも疲れていたし、もう言っちゃおうと思いました」
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「公表して本当に楽になりました。もっと早く言えば良かった。周りはさらっと受け入れてくれて、なんだか拍子抜けでした。たくさんのメッセージもいただきました。もし患者さんで周りに言えない人がいたら、ぜひ言ってほしいです。絶対に受け入れてくれるし、力になってくれる人もいると思うから。病気と向き合って、勇気を出して告白してほしいです」
道端さんは乾癬の認知を広げ、少しでも多くの人に患者の悩みを知ってほしいと訴えました。
「乾癬という病気の名前を知ってほしいです。乾癬はうつらないし、不潔にしているわけでもありません。そういうことだけでも知ってもらいたい。乾癬をもっと身近に受け止めてくれると、患者のみなさんも前向きに生活できると思うので、よろしくお願いします」
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