あなたに合った「クラウドストレージ」は? 主要サービス5つを徹底比較
カフェやコワーキングスペースで仕事をすることが多い人。スマートフォンで写真や動画を撮ることが多い人。こうした人たちにとって、スマートフォンやタブレット端末の空き容量やデータの整理・管理は大きな悩みの種ではないでしょうか。「クラウドストレージ」と呼ばれるサービスは、そのような悩みを解消する方法として多くのユーザーに活用され、いまやビジネスシーンだけではなく、生活のあらゆる場面で役立つ存在になっています。
いまでは、Google、Microsoft、Apple、Amazonなど名だたるIT企業がクラウドストレージを提供していますが、それぞれのサービスにはどのような違いがあるのでしょうか。主要なクラウドストレージの特徴を比較することで、あなたに合ったサービスが見つかるはずです。
クラウドストレージサービスの特徴
クラウドストレージとは、「インターネット上に設けることができる自分だけのデータ保管場所」とイメージすると、わかりやすいのではないでしょうか。強固なセキュリティで守られた「データの貸し倉庫」のような存在です。こうしたクラウドストレージを活用するメリットは大きく分けて2つあります。
1つはパソコンで作成したドキュメントすべてをひとつの場所で管理することができるという点。クラウドストレージは、パソコン、スマートフォン、タブレットなど様々な端末からアクセスすることができるため、パソコンで作った文書を移動中にスマートフォンで確認するといったシームレスな利用や、データの一元管理に役立ちます。
もう1つは、スマートフォンで撮影した写真や動画の効率的な管理です。スマートフォンで撮影した写真や動画は、整理する機会がなかなかないものです。このため、SDカードや内蔵ストレージのなかで放置されてしまい、たまった写真や動画で端末の空き容量が足りなくなるということが少なくありません。しかし、クラウドストレージの「写真アップロード」機能を活用すると、撮影した写真をどんどんクラウドストレージ上に保存してくれるので、端末の空き容量を節約したり、パソコンで写真を整理したりすることが簡単になります。
また、多くのクラウドストレージでは、Windowsの「エクスプローラ」に専用のフォルダを作り、そこでファイルの操作ができるようになります。「ドラッグ&ドロップ」、「名前の変更」、「フォルダを作って整理」といった操作が可能になるため、直感的にファイル整理ができる点もポイントです。
それでは主要なクラウドストレージを見ていきましょう。
人気の火付け役となった老舗サービス「Dropbox」
まず紹介するのが、日本語版を2011年から展開している、米国の「Dropbox」。クラウドストレージがインターネットユーザーに支持されるきっかけになったと言えるサービスです。スマートフォンアプリでの写真アップロード機能、パソコン上でファイルを簡単に扱える利便性の高さ、ファイル共有の簡単さなど、現在のクラウドストレージサービスのスタンダードと言える機能をいち早く提供してきました。
また、Microsoftが提供するスマートフォン・タブレット向けの「ワード」「エクセル」「パワーポイント」アプリと連携できるのもポイントです。これらのアプリは、クラウドストレージに保存された文書を閲覧・編集できるほか、スマートフォンやタブレット端末で作成した文書をクラウドストレージに保存することもできます。国内の主要なクラウドストレージでは、いまのところ後述する「OneDrive」とこの「Dropbox」のみが対応しています。仕事のデータを効率よく管理したい方にとっては利便性が高いと言えるでしょう。
GmailユーザーやAndroidとの親和性が高い「Google Drive」
一方、Googleが提供する「Google Drive」は同社のメールサービス「Gmail」と容量を共用しているのが大きな特徴です。ビジネスやプライベートで日常的に「Gmail」を利用している人のなかには、メール保存容量を確保するため有料プランに申し込んでいる人もいると思いますが、その場合は「Google Drive」も利用できるので、ぜひ活用しましょう。
「Google Drive」では、「Google Photo」というアプリで写真のアップロードを行いますが、アップロードする写真は2種類の品質から選ぶことができます。「高画質」という品質すると、写真は最大1600万画素、動画はフルHDの品質にリサイズしてアップロードされますが、追加料金を払うことなく容量無制限で利用することができます。一方、「元のサイズ」という品質すると、画像や動画をリサイズするよりも高画質な写真や動画をアップロードできますが、「Google Drive」の空き容量を消費します。用途に合わせて活用すると良いでしょう。
また、Androidスマートフォンとの相性の良さもポイントです。例えばスマートフォンに保存してあるファイルを「Google Drive」に保存したい場合は、共有メニューから簡単にアップロードすることができるほか、「Google Drive」に保存されているデータをスマートフォンにダウンロードすることも簡単にできます。パソコン向けソフトをインストールすると、「Dropbox」同様に専用のフォルダで簡単にファイルを操作することができるようになります。
Microsoft Officeとの連携でビジネスを効率化する「OneDrive」
Microsoftが提供するクラウドストレージ「OneDrive」の大きな特徴は、Windows 10に組み込まれているサービスという点です。Windows 10にログインするために必要な「Microsoftアカウント」を取得すると、同時に「OneDrive」の無料プランが使えるようになります。パソコン内の「OneDrive」のフォルダに保存したファイルは、スマートフォンやタブレットでもアクセスできるようになります。
写真のアップロード機能は「Dropbox」などと大きな違いはありませんが、特筆すべきは「Microsoft Office」との連携です。スマートフォンやタブレット向けの「ワード」「エクセル」「パワーポイント」は、「OneDrive」と連携して使うように設計されています。パソコンで作った文書の修正をスマートフォンやタブレットで行ったり、逆にスマートフォンでまとめた簡単な文書やプレゼンテーションの仕上げを帰宅後にパソコンで行うといったシームレスな作業を実現します。有料プランのなかには、パソコン向け最新Officeソフトの1年間使用料と1TB分の「OneDrive」使用料をセットにしたプラン「Office 365 Solo」(年額1万2744円)もあり、ビジネス文書を日常的に作成する人にとっては非常に便利なサービスではないでしょうか。
iPhoneユーザー、Macユーザーの必須サービス「iCloud」
iPhoneやiPad、Macパソコンを使っている人にとっておなじみのサービスが、Appleの「iCloud」です。Microsoftの「OneDrive」と同様に、「iCloud」はApple IDを持っているユーザーであれば無料プランがすぐに利用できます。
「iCloud」の写真アップロード機能は非常に強力で、iPhoneやiPadの設定で「iCloudフォトライブラリ」をオンにすると、端末の写真アプリに保存されている写真や動画をすべて自動で「iCloud」にアップロードします。また、iPhoneとiPadを2台持ちしている場合には、「iCloudフォトライブラリ」を通じて写真や動画を自動的に共有することが可能なほか、「iCloudフォトライブラリ」に保存された写真や動画にはパソコンからもアクセスできるので、写真の整理も簡単にできます。ただ、「iCloudフォトライブラリ」にAndroid端末からアクセスする手段はないので、iOSとAndroidを併用して使っている場合には注意しましょう。
Appleのオフィスアプリ「Pages」「Numbers」「Keynote」で作成したデータを共有する場合には「iCloud Drive」の活用が便利です。「Google Drive」「Dropbox」「OneDrive」との連携も可能ですが、「iCloud Drive」は設定なしですぐに使用することができます。ただ、「iCloud」はiPhoneやiPadのバックアップと空き容量を共有しているため、無料プランの5GBでは容量が足りないのが現実です。本格的に活用する場合には有料プランの利用は不可避と言えるでしょう。
Amazonプライム会員ならば試さないともったいない「Amazon Drive」
今回紹介するサービスのなかで唯一有料なのが、ネット通販大手Amazonが提供する「Amazon Drive」。Amazonの有料会員サービス「Amazonプライム」(年額3600円)を利用しているユーザーには、5GBのクラウドストレージが提供されます。ただ、「Amazon Drive」はファイルを保存・共有するよりも写真データの保存に特化した使い方がオススメです。というのも、「Amazon Drive」はファイル、動画データは5GBという容量制限がありますが、写真データは使用できる容量が無制限なのです。
「Amazon Drive」の関連サービスである「Primeフォト」を使うとスマートフォンに保存された写真データを簡単にアップロードすることができ、かつ「Google Drive」のように解像度や品質を落とすことはありません。ただ、パソコンでファイルを扱う場合、フォルダ操作で写真を整理できる他のクラウドサービスと違い、「Amazon Drive」はブラウザ画面でしかファイル操作ができないため、他のサービスと比べると若干使い勝手が悪いと言えるでしょう。
最後に、今回取り上げた5つのサービスを簡単にまとめた比較表を紹介します。無料容量や有料プランの価格体系はサービスによって大きく異なり、写真アップロード機能やオフィスアプリとの連携などそれぞれのサービスに強みがあることがわかります。本格的にクラウドストレージを活用してみたい人は、用途に合わせて自分に合ったサービスを選んでみてはいかがでしょうか。